はじめに
動画を最後まで見てもらっても、そこで視聴者がYouTubeのホーム画面に戻ってしまえば、チャンネルとの関係はそこで終わります。
エンドスクリーン(終了画面)とカード(情報カード)は、視聴者を「次の動画」「チャンネル登録」「再生リスト」へ誘導するために用意されているツールです。設定しているチャンネルは多いですが、効果的に使えているチャンネルはそれほど多くない印象があります。
設定するかどうかより、「どの動画をリンク先にするか」「何秒に表示するか」「カードをどのタイミングで挿入するか」の方が重要です。この細部の設計が、チャンネル内の回遊率と視聴時間に直結します。
DaVinci Resolveプラグインを5000本以上販売しながら登録者6万人超のチャンネルを運営してきた経験から、エンドスクリーンとカードの実践的な使い方を解説します。
エンドスクリーン(終了画面)の基本
YouTubeが設けているエンドスクリーンの制約
YouTubeのエンドスクリーンは動画終了前の最大20秒間に表示できます。設定できる要素は以下のとおりです。
- 動画または再生リストへのリンク(最大4つ)
- チャンネル登録ボタン
- チャンネルへのリンク(承認された外部リンク)
表示できる要素数は最大4つで、最低でも1つは動画か再生リストへのリンクを含める必要があります。
エンドスクリーンが機能するために必要な「前提」
エンドスクリーンに要素を設定しても、表示中に視聴者が離脱してしまうと意味がありません。クリックが発生するのは、視聴者がエンドスクリーン表示中も画面を見ている場合に限られます。
多くのチャンネルで見られる失敗パターンは、エンドスクリーンが始まる前に動画の内容が終わっていることです。「ご視聴ありがとうございました。よかったらチャンネル登録を」という無音のテロップが20秒間続く動画は、視聴者の多くがエンドスクリーン表示開始と同時に離脱します。
エンドスクリーンが機能するのは、最後の20秒まで視聴者を引き留めるだけのコンテンツがある動画です。具体的には、エンドスクリーンが始まる直前まで実用的な情報を届け、「次の動画でこの続きを解説します」「この動画と一緒に見てほしい関連コンテンツがあります」という形で自然に誘導する構成が効果的です。
エンドスクリーンのレイアウトパターン
パターン1: 登録ボタン + おすすめ動画1本
登録者が少ないうちに最も効果的な配置です。画面の左下に登録ボタン、右側に動画サムネイルを大きく配置します。視線が自然に左から右に流れる設計で、登録とクリックの両方を促します。
パターン2: 動画2本 + 登録ボタン
チャンネルの動画本数が増えてきたら試す配置です。おすすめ動画2本と登録ボタンを組み合わせることで、視聴者に複数の選択肢を提示できます。ただし、要素が多くなると視線が散らばりやすいため、動画のサムネイルと登録ボタンのサイズに明確な優先順位をつけることが重要です。
パターン3: 再生リスト + 登録ボタン
シリーズ動画を作っている場合に有効なパターンです。単体の動画より再生リストをリンク先にする方が、視聴者が連続して複数の動画を見てくれる確率が上がります。視聴時間の積み上げに直結するため、アルゴリズム的にも有利に働きます。
リンク先動画の選び方
エンドスクリーンで最も重要な判断がここです。「最新動画を自動的にリンク」する設定にしているチャンネルも多いですが、視聴者の今の状態に合った動画を手動で選ぶ方が効果的なケースがあります。
視聴者の「次の疑問」につながる動画を選ぶ
現在の動画を最後まで見た視聴者は、その内容を概ね理解した状態です。次に自然に生まれる疑問を先読みし、その答えを提供する動画をリンク先に選ぶと、クリック率が上がります。
例として、「DaVinci Resolveで色調整の基本」という動画を見終えた視聴者には、「ノードの組み方の応用」や「LUTの使い方」など、次の学習ステップに当たる動画が適切です。最新動画が全く別テーマの場合、自動リンクより手動設定の方がクリック率は高くなりやすいです。
視聴者維持率が高い動画を選ぶ
自チャンネルの中でも視聴者維持率(平均視聴率)が高い動画は、視聴者にとって「最後まで見る価値がある」と判断されやすい動画です。リンク先にこういった動画を選ぶことで、エンドスクリーン経由でのセッション時間が伸びやすくなります。
YouTube Studioの「リーチ」タブで、動画ごとの平均視聴率と視聴者維持率を確認したうえで選ぶのが適切です。視聴者維持率の読み方と改善については別記事で詳しく解説しています。
カード(情報カード)の効果的な使い方
カードはエンドスクリーンと違い、動画の任意のタイミングで表示できます。この「任意のタイミング」の選び方が、カードの効果を決定づけます。
カードを入れるべきタイミングの考え方
カードは「視聴者に疑問が生まれた瞬間の少し前」に挿入するのが最も効果的です。
例えば、「DaVinci ResolveでLUTを使う手順」を解説している動画で、「そもそもLUTとは何か」という前提知識の説明を始める直前に「LUTの選び方を解説した動画はこちら」というカードを出すと、視聴者が「詳しく知りたい」と思うタイミングと一致します。
逆に、内容の区切りが悪い場所や、視聴者が情報を処理している最中にカードが出ると、邪魔に感じられてクリックされません。
動画の前半に挿入する
カードのクリック率は動画の後半より前半の方が高い傾向があります。後半になるほど「見てしまった感」が生まれ、リンク先に移動するモチベーションが下がるためです。重要な関連コンテンツへのリンクは、動画の前半〜中盤(目安として動画尺の20〜50%のあたり)に設定します。
カードのテキストは具体的に書く
カードのラベルテキストは「関連動画」ではなく、動画タイトルに近い具体的な内容を入れます。「DaVinci ResolveのLUT設定を解説」のように、クリックすることで何が得られるかが分かる文言の方がクリック率は高くなります。
DaVinci Resolveでエンドスクリーン用テンプレートを作る
エンドスクリーンの視覚的な演出は、動画編集ソフト側で準備しておくと管理が楽になります。DaVinci Resolveで共通のエンドスクリーンテンプレートを作っておけば、動画を作るたびに要素を配置しなおす手間が省けます。
テンプレートの作り方(DaVinci Resolve)
Fusionページでエンドスクリーン用のレイアウトを作成します。構成要素は「チャンネル名・ロゴ」「登録を促すテキスト」「動画サムネイルを貼るためのプレースホルダー」が基本です。
サムネイルのプレースホルダーには、MediaIn ノードを使って後から画像を差し替えられる仕組みを組んでおくと、テンプレートを使い回しやすくなります。カラー設定やフォントをチャンネルのブランドカラーに合わせておくことで、どの動画でも統一感のある終了画面になります。
テンプレートをFusionコンポジションとして保存すれば、次の動画からはタイムラインに配置してサムネイル画像を差し替えるだけで完成します。
DaVinci Resolveのテロップや視覚的なエフェクト制作を効率化したい場合は、Essential2のようなプラグインを活用することで、エンドスクリーンを含む各種テンプレートの品質を高める制作がしやすくなります。
トラフィックソースとの連携
エンドスクリーンとカードは、チャンネル内のトラフィック設計の一部です。外部からの流入(YouTube検索やおすすめ表示)で新規視聴者が動画に来たとき、その視聴者をチャンネル内に留めるのがエンドスクリーンとカードの役割です。
YouTubeトラフィックソース別の最適化戦略では、外部からの流入を増やすための戦略を解説しています。流入を増やしたうえでエンドスクリーンとカードで回遊させる、という2段階の設計を意識すると、視聴時間の積み上げが効率的に進みます。
また、視聴者を動画に引き込む冒頭の構成については台本の構成設計が参考になります。最後まで見てもらう動画を作ることが、エンドスクリーンの効果を最大化する前提です。
まとめ
エンドスクリーンとカードは、設定することより「何を・どこに・いつ出すか」の設計が結果を左右します。
エンドスクリーンは最後まで有益なコンテンツを届けながら自然に誘導する構成が前提で、リンク先は視聴者の「次の疑問」を先読みした動画を手動で選ぶのが効果的です。カードは動画の前半〜中盤、視聴者に疑問が生まれる直前に挿入し、クリックすることで何が得られるかを具体的に伝えるラベルをつける、、この設計を意識するだけで、回遊率と視聴時間は改善できます。